ブログ【小説更新情報】水琴窟

ブログ【小説更新情報】水琴窟

皆さん、こんにちは。残暑が厳しいですね。この前まで冷夏だと思っていたのが嘘のようです。お元気にお過ごしでしょうか。

奇譚拾遺集第十三部水琴窟をアップしました。歳時譚です。

斎藤さんが高台寺に御陵衛士として駐屯していた八月の話。旧暦八月十五日は季節では秋。月遅れ盆の時期です。千鶴ちゃんは新しく移った不動堂村の屯所で、一年前の放生会に斎藤さんと黒谷に出掛けたことを思い出します。(ちょうどひと月前の旧暦七月の五山送り火の夜に二人は四条通で再会しています)

不動堂村屯所は立派な武家屋敷造りで、大広間に幹部や平隊士の部屋の他、大きな台所と大浴場、厩や物見櫓まで備わっていたそうです。小説の中で、総司君の休む部屋は南側の一角にあるとしています。

間借りをしていた西本願寺とは違い、不動堂村屯所は平隊士の部屋や使用人の住居まで敷地内にあり、伏見奉行所に移るまでの半年間、ゆったりと生活出来ていたようです。薄桜鬼では、風間さんたちが襲来した騒動で西本願寺から出て行くようにと言われて、仕方なくという様子でした。壬生村の八木邸に二年、西本願寺に二年、その後の屯所は、長く駐屯することはなく、流転の時代に突入していきます。

斎藤さんと千鶴ちゃんは、八か月の間離れ離れになっていて。無意識化で互いに想いは募っていたと思います。やはり、西本願寺の二年間が斎千にとって平和で幸せな日々ですね。この歳月に培った二人の関係性は決して揺らぐことがない。なんでもない日常の積み重ねが、一瞬一瞬を懸命に生きていた若い二人にとって、その後の長い夫婦生活の土台になっていると思います。

五山送り火も放生会も、殺生や仏教的戒について斎藤さんは少なからず何かを心に思う日。放生会に供養の気持ちを込めて精進料理を食し、静かに屯所に帰って行ったのでしょう。千鶴ちゃんを御伴に連れて行ったことは斎藤さんにとっても特別な出来事だったと思います。

水琴窟は、今も至る所にあって不思議な音色を聞く事が出来るので大好きです。どこか仏教寺院の鐘の音にも似てインドっぽい響き。水の音と一緒に聞こえるのが、なんとも言えず気持ちが落ち着きます。京都では、永観堂の水琴窟の他に、もっと八瀬に近い圓光寺にある水琴窟が、音色が美しいことで有名です。

私は北鎌倉の明月院の中にある茶処で、お庭にある水琴窟の音を聴いたことがあります。とても素敵な音でした。今これを書きながら、水琴窟とせせらぎの音を動画で聴いています。

こちらを読んで下さって有難うございます。

それでは皆さん、暑さに負けないように、くれぐれもおいといください。

 

ちよろず

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