ブログ【虚構と現実のはざまで①】斎藤さんとお蕎麦
こんにちは。皆さま、酷暑が続く中お元気にお過ごしでしょうか。
ずっと小説の更新が滞ってしまってすみません。続きをぼちぼち書き進めては推敲を重ねています。物語の結末まで頭の中に出来上がっているのですが、なかなかあれもこれもと書きたいことが増えてきて、一体どうなっていくのやら。なんとか走っていきたいです。
ずっと以前からブログに書こうと思っていたフィクションの斎藤一像について、今回は「お蕎麦」です。薄桜鬼の斎藤さんは無類のお豆腐好き。公式の設定です。首に巻く襟巻も白い、襦袢も白い。着物は返り血が目立たないように黒地、紺地を選んでいますが、天雲の抄にでてきたエピソードで真っ白な襟巻を好む理由がわかりました。じーんとくるお話でした。純粋潔白なイメージがお好きらしいです。うーむ。
薄桜鬼以外のフィクションの斎藤一は、圧倒的に「お蕎麦」好きとして描かれることが多い。確かに、江戸に生まれ育ったので、うどんより蕎麦が好みかもしれない。
私は小説、映画、ゲーム、アニメ、漫画等にでてくる様々な斎藤一(像)に興味があります。それぞれ違っていますが、なんとなく共通するのが「寡黙」「なにを考えているのか判らない」「蕎麦好き」、この三点かな。ピスメの斎藤さんも正にそんな感じです。映画「Chain」の斎藤一も油小路の蕎麦屋で伊東甲子太郎を待つ間、お蕎麦を食べている場面があって、他の新選組隊士たちが緊張する中、3杯目をおかわりして皆から呆れられるというコミカルな場面がありました。好物だから仕方がない、というような返しをぼそっと言っていたと思います。Chainの斎藤一はめっちゃ好み。
大好きなFGO(Fate:Grand Order)の斎藤一は「コロッケ蕎麦」をカルデラの食堂で食べています。見廻り中の夜食。ゲーム内でおごってもらい一緒に食べたこともあります。この前、実際にコロッケ蕎麦なるものを生まれて初めて食べてみました。駅の構内にある立ち食いお蕎麦屋さんで笑笑 不思議な味でした。わたしはコロッケを単体で食べるほうが好きです。天ぷらそばのほうがいいかな。それを言ったら、FGOのはじめちゃんに鼻で笑われそう。
現実の斎藤一さんは何を好んで食されていたのでしょうね。親族の伝聞でお酒を日常的によく飲んでいたと伝わっているようですが、食べ物については文献や記録には一切触れられていないので、そこはフィクションで想像して食の好みを広げていくしかない。手前みそですが、わたしは二次創作の中で、うどんも蕎麦も好んで食べている斎藤さんを描いています。お蕎麦は卓袱(薄口だしと具材)、うどんは刻み。好みはシンプルです。因みに上の写真は「しっぽくそば」です。関東圏の「おかめそば」とは少し違い、鶏肉が入って出汁は薄め、鳴門巻きではなく蒲鉾。落語の「時そば」では竹輪が入っていて、噛み切り咀嚼する仕草が大層面白い。
リアルの斎藤さんが蕎麦を好むかはさておき、会津戦争は過酷な転戦環境だったので、兵糧については蕎麦の実を調達しただろうと想像して二次小説に描きました。藩祖の保科正行が蕎麦職人を高遠藩(現在の長野県高遠市)から連れて来て拡めたことから、会津は蕎麦食が発展した経緯があります。それでも戦の最中、食糧入手は大変だったろうと思います。農民も人足も含め掠奪や敵兵の遺体まで食するという憎しみと狂気が両軍に蔓延していたと伝聞記録されています。戊辰戦争の現実は非情に陰惨で残酷な状況だったことは確かです。
山口二郎の名で新選組を率いた斎藤さんは、寒さや飢えの極限状態を乗り越えたのだろうなと想像します。フィクション(薄桜鬼)の斎藤さんも、描かれてはいないだけでその歴史は通ったはず。だからこそ、戦後斗南藩での生活を経て上京し家族を抱えて逞しく生き抜いた斎藤一(藤田五郎)とずっと寄り添った妻の千鶴ちゃんをしっかり描きたいです。
余談ですが、リアルの斎藤さん(藤田五郎)のご長男、勉の孫にあたる實(みのる)さんが以前会津で好んでいる食べ物はありますかと質問を受けて、お墓参りに来ると「会津葵」を買って帰りますと答えていらっしゃいました。實さんご本人は甘いものは余りお好きでないそうで、奥様から必ずお土産にとリクエストがあるそうです。愛妻家でいらっしゃって、とっても微笑ましいです。現実と虚構を混ぜてはいけませんが、妄想の斎千と重なってしまいます。
会津葵の店舗がこれまた素敵で、お城に行ったら必ず立ち寄ります。薄暗い蔵のような店内は江戸時代にタイムスリップしたような雰囲気。「かすてあん」は甘味が強すぎるので、「麟閣」を買う事が多いかな。打ちもの菓子も容器が素敵です。和三盆の甘味がしっかりしていてお抹茶にあいます。
7月も半分を過ぎました。土用を迎える今週、本格的に暑さが続くことを思うとしっかり体力をつけて乗り越えねば。皆さん、どうぞお身体おいとい下さい。