ブログ【あとがき】さかしま、彼方

ブログ【あとがき】さかしま、彼方

 こんにちは。秋晴れが続いて気持ちのいい季節ですね。

 外を歩く時は、空や色づいた木を見上げることが多くて眩しいぐらいです。
 皆さん、お元気にお過ごしでしょうか。

さかしま」の続き「彼方」をアップしました。沖千夫婦の物語後編です。

 どちらも大人向きに書いた小説なので保護パスをかけています。パスワードをお持ちでない方はメールフォームでお問合せください。

 以下あとがきです。

 どちらもタイトルは大好きな小説からお借りしています。「さかしま」は道理に逆らう、「逆さま」の意味合いを持つ言葉で、沖田さんの心の奥底の感情と表面に現れている言動を表しています。ユイスマンスの「さかしま」は退廃的な隠遁生活を送る男の奇妙な日記のようなお話です。デカダンスの聖書ともいわれていて。世紀末チックな内容。日常を逸脱した人口美に身を置くことに陶酔している偏執狂の物語。勿論薄桜鬼の沖田さんとは全然ちがいます(・∀・) 

 これより先はゲーム「月影の抄」のネタバレを含むので記事を一部畳みます。ネタバレが嫌な方は読まないでください。

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「彼方」は幻想的な物語です。冒頭の二人の降り立った風景は一体どこなのか、書いている私もあまりはっきりとは解っていません。時系列的に二人がいつ、この風景の中に居るのかも、雪村の郷での「春の日の想い出」も過去の出来事の回想のようでもあるし。時間と空間は意図的に曖昧に描きました。明治五年の秋から翌年の春かもしれないし、そのずっと後の春の出来事かもしれず。仲睦まじい二人が一緒に布団で見ている夢とも考えられるし、激しく愛し合った時に二人で果てた瞬間の夢幻かもしれず。沖田さんが亡くなった後に千鶴ちゃんも後を追って、二人であの世とこの世の中間地点に行きついた場面とも考えらえます。あまり判然としないように書いています。お好きなように感じて貰えれば嬉しいです。

劇中劇の「浜中納言物語」は、夢のお告げと「転生」がテーマになっている平安後期の物語文学です。二人が褥で読む部分は巻二。沖田さんは結末まで先に読んでいる様子です。雪村の郷の冬は雪深く何か月も部屋の中で二人きり。冬季は二人で読み物に没頭して楽しみます。

「さかしま」で千鶴ちゃんは、鬼塚で雪村の一族と密かに語り合っています。千鶴ちゃんは、本当の願い(さかしまな祈り)を一族の霊に見守り叶えてもらうように日々祈っています。

沖千夫妻、千姫も長護も含めて全員、二人が末永く生きるという嘘を装っている。それが現実です。皆が慈しみ想い合う。沖田さんの死の影は表面だけでも皆で否定するしかないのです。

中納言の草子は千姫が郷に持ち込んだものかもしれません。物語を読んだ二人が戯れに転生や夢に希望を持っていくのも自然なこと。千姫はそう願ったのかも。

「彼方」は、そんな二人が子供のように遊び、光の向こうへ旅立つ物語です。

薄桜鬼はどの攻略ルートも気持ちを添い遂げる場面が描かれていて素敵ですね。前は描くのは無理だろうと思っていた沖田さんと千鶴ちゃんの性愛の場面を今回はしっかりと書く事が出来て良かったです。

ここまで読んで下さって本当にありがとうございます。

ちよろず

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