ブログ【潜在的イメージ】風の章序章

ブログ【潜在的イメージ】風の章序章

皆さん、こんにちは。

今日は関東は朝から雨。もう梅雨のはしりのような肌寒さです。お元気にお過ごしでしょうか。

銀星の抄が待ち遠しく、薄桜鬼真改風の章をプレイしました。じっくりと。

風の章の共通ルート。いつもプロローグをスキップしているので、細かい部分をすっかり忘れていて。久しぶりに冒頭部分からじっくりプレイすると、無印と異なる部分があって、とても新鮮に感じました。

千鶴ちゃんが新選組と出遭う夜。物語の導入で最初に、斎藤さん、総司君、土方さんの三人が登場します。(千鶴ちゃんが羅刹に襲われた場所は、きっと壬生村から比較的近い四条の裏通りのような気がします)

本当にいまさーらですが冒頭の場面。これが物語の「起」だとして。この三人との出会いで主人公は新選組と深く関わることになる。羅刹の殺戮場面など結構陰惨な場面で、描写をみると、千鶴ちゃんは血の海と羅刹隊士の遺体の傍で三人と会話をしている。それも脅されながら。異常な状況です。

攻略キャラクターと千鶴ちゃんの関係性を考える時、薄桜鬼は決して全員が一列に並んでのスタートではなくて、新選組幹部の中でも結構出会うタイミングはバラバラ。ルート分岐に影響するので台詞の選択でキャラクターとの絡み具合も変わる。薄桜鬼は最初の台詞分岐の選択が多くて、分岐レイヤーが若干複雑な印象があります。

こういった攻略ルート分岐の細やかさとは別に、全編において千鶴ちゃんの眼を通してみた屯所の様子、市中の様子、隊士や幹部たちが描かれていきますが、キャラクターと千鶴ちゃんの関係性が築かれる過程で、どうしても一種競技のような感覚でみてしまいます。

特に攻略キャラクターがそれぞれ千鶴ちゃんに与える印象と千鶴ちゃん側の好感度を考える時、それはプレイヤーである自分がキャラに感じる好感度(夢中になり具合)と必ずしも連動していない。攻略(相手の高感度を上げる=愛キャッチ発露)のために、台詞選択を必死に選ぶわけですが、千鶴ちゃんが本当にどう思っているのかが、後半になるまであまり明らかにされていないにもかかわらず、プレイしていると攻略キャラクターへの印象(千鶴ちゃんの心の中のモノローグ=千鶴ちゃんの解釈や理解)が徐々に変わっていく。

薄桜鬼は千鶴ちゃんが語る物語で、声優さんの声が聞こえないので、じっくり画面と行間を読むことに集中しないとなりません。乙女ゲームって不思議ですね。この画面を読む作業が一種疑似恋愛を生むのでその辺の作用がとても面白いです。そして、単にテキストを読むだけではなくて画面に動くキャラや背景、作品世界、BGMや効果音もですが、登場するキャラクターの声や息遣いなどで、そこに存在する相手が本当に居るかのように感じます。感情移入が最大限に出来るとゲームの中のシチュエーションに更に夢中になります。これこそが乙女ゲームの醍醐味。

物語の冒頭から「よーいスタート」で始まる各キャラクターとの関係性の構築ですが、もちろんプレイする前からキャラの外見やイメージ(もしくはCV)で「特別に好き」「気に入っている」「もろに好み」「あまり好きじゃない」「そそられない」など好みの差はあります。ですが、あえて登場するキャラクターが「千鶴ちゃん」に植え付けるイメージ(潜在的刺激)について、今回じっくり考えてみました。

サブリミナルイメージは作為的に全く使われていませんが、千鶴ちゃん(同時にプレイヤーの私たち)が、たとえ意識下に捉えていなくても、深い心理下に植え付けられていくイメージが薄桜鬼には散見しています。ゲームの画面に出て来る絵柄の美しさで、その効果は常に最大限です。

また冒頭部分の話になりますが、最初に言葉を発する攻略キャラクターは総司君です。声だけの登場。これが結構強烈な印象です。その次が斎藤さん。二人の会話は、混乱している千鶴ちゃんの耳に聞こえても意味を成していない。(初めてプレイした、プレイヤーにとっても?!)そして、直後に土方さんに真剣で脅されるように尋問される。真剣の切っ先を突きつけられて、恐怖心を感じながらも、土方さんの顔の表情に強烈な印象を受けている。(めっちゃ男前ですからね)

これは、極限状態での体験なので磨り込みは十分です。意識の表層にしっかりとある強烈なイメージでしょう。ここから物語は始まった。これだけで土方さんルートが花開く十分な下地が出来ていると言ってもいいぐらい。

無印との比較として、総司君が「斎藤君」呼びをしていない。真改だと「一君」呼びに改訂されているのがポイント。総司君が「斎藤君」と呼ぶのは無印の序章場面ぐらいで、とても新鮮な感じに思えます。紹介で「斎藤一くん」とフルネームを君付けで読むのも、すごく新鮮。薄桜鬼というより、それこそ司馬さんの小説みたいな印象があって、無印は既存フィクションの「新選組」らしさが強い。真改をプレイして、改めてじっくり無印をプレイすると、最初期のシナリオでは、薄桜鬼世界のキャラ同士の関係性が今ほど確立されていなかったのかなと思います。シナリオの「進化」が見られるので、薄桜鬼は無印と真改を比較分析するのが楽しい。ゲーム世界でキャラ同士の関係性まで少しずつ変化してきている。キャラクターが生きている証拠です。本当に素敵。人によっては、無印で出来上がったイメージと真改とで齟齬を生じたように感じるかもしれませんね。シナリオを「劣化」と感じる方もいるでしょう。ですが、どちらも薄桜鬼のキャラクターで聖典なのは確かです。無印、真改どちらのキャラにも芯の部分はあって、私はどちらも相違はないと感じています。

無印と真改のシナリオ、作画、背景の比較分析をやれば、ブログを毎日書いても数年かかりそうですね。それも楽しいかもしれないけれど、私は邪道な二次創作をやっていて、自分の中の斎藤さんや千鶴ちゃんを勝手に構築してしまっていて、もう頭の中が「わや」になっているので、そもそも分析なんて無理。原作が最高です。なんといっても、毎回プレイすると新しい発見があってキャラに萌えられる。そこが薄桜鬼の大好きなところ。

ゲームの話に戻りますね。序章序章。

潜在的イメージとして、抜きんでているのが総司くんです。最初の第一声が総司君で、あの混乱の中で、自己紹介までしている。斎藤さんも総司君が紹介する形で名前を知らされるけれど、斎藤さんは一歩下がった場所に立っている印象。直後に、連行される千鶴ちゃんの手を強く掴んで引いて歩いたのも総司君。

千鶴ちゃんのモノローグの中で、総司君は「妙に無邪気な調子」で残酷な事を言って千鶴ちゃんを追いこんでいます。最初に人斬りを見せた斎藤さんは、三人の中で一番先に千鶴ちゃんに視線を向けていますが、「最悪を想定しておけ」と突き放すようなひと言。

土方さんはずっと「こいつ」呼ばわりして迷惑そうです。

この三人の中で、総司君は強烈な印象ですね。発言も、立ち位置も一番近くに立っていて、笑顔(千鶴ちゃんの天然な反応に、涙を流しながらウケている時もある)を見せて、千鶴ちゃんに直ぐ触れている。手首をきつく掴んで引っ張っていく。

総司君のフィジカルタッチ。これは全編を通して強い印象です。総司君は、千鶴ちゃんの事を女の子と判った上で、(まだ子供だと思いながら)物理的に触れる事に抵抗がなさそうです。総司君自体、触れることに抵抗がないせいか、いやらしさを感じない。千鶴ちゃんもむやみに抵抗しない。

最初のやり取りで、千鶴ちゃんの「素直」な部分に総司くんも斎藤さんも好感を持っている印象。土方さんは、厄介事と思いつつ、(市井の民を)殺生することに抵抗がある様子です。

あらためて、画面の三人を見ると、隊服に鉢金までつけていて、普通の巡察ではない様子。黎明録をプレイすると、この場面が前川邸から羅刹隊士が複数脱走し、幹部全員で追っていた夜だという事が判ります。羅刹隊士が実務に使えるか、まだ判っていない実験段階で、暴走する羅刹隊士を密かに幹部で始末をしていた時期。新選組が近藤さん体制になってまだ数か月、羅刹隊士と変若水、雪村鋼道の失踪で、新選組内情は悪い方向に激変しています。ここに、突然千鶴ちゃんが現れて。新選組幹部にとっても、大きな「起」となる夜。

潜在的なイメージでは、恋愛対象として総司君が一番かなあ。土方さんの人情が現れている様子も、無意識化に千鶴ちゃんが土方さんを信頼する土台を作っているし。斎藤さんは、やはり一歩離れた場所にいて、「命令」とあれば即座に斬り殺すという雰囲気を感じているせいで、一番冷徹な印象が強い。斎藤さんは攻略キャラとしては、印象は薄いかもしれません。序章段階では。

今回プレイしてみて、序章の最後の千鶴ちゃんの気持ちの描写が一番印象的でした。以下抜粋。

でも、なにより恐ろしいのは、先行きに対する不安なんかじゃない

私は……。

死体の真横で、血の池の中で、彼らの話を聞き、彼らと話しをした。

そんな自分自身が怖い。

私に狂い始めた瞬間があるのだとすれば、それはきっとこの夜だった。

千鶴ちゃん、冒頭で自分が狂ったとハッキリ言っているのが。もう吃驚です( ゚Д゚)

恋に狂ったのよね、そうよね。人生狂ったとか言わないでーーーーとコントローラー握ったまま叫びたかったです。

薄桜鬼って凄絶ですね。幼気な女の子が、こんな事を思って始まる物語なんて。でもこのモノローグの後に、OPの歌が流れてドラマチックなんですよ。もうね、文句無しに盛り上がって、心の中はうぉーーーんってなる。

そして、翌朝のちゅんちゅん、ちゅんちゅん🐤

雀の声と障子越しに射す朝の光。

めっちゃ平和で牧歌的。縛られてますけどね(・∀・)このジェットコースター感が凄いです。薄桜鬼、めっちゃプレイヤーの心を振り回します。全編において。そう、そして嵌まっていくのですね。

あーーー面白かった。序章だけで午後を楽しめました。

お付き合い頂いてありがとうございます。

銀星の抄リリースまで、小説ももっと書き進めたいです。戊辰シリーズ、後半エピソードは早く進めようと思っています。FRAGMENTS春も、いろいろとエピソードを練っていて止まらない。このシリーズ二つを書き終えないと、大股開きの番外編にも取り掛かれない。書きたい話はまだまだあるので、これからもっと精進しますね。

いつも、ブログページまでお立ちより下さってありがとうございます。

それでは皆さん、よい週末を。

 

ちよろず

 

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